カンボジアのほぼ中央部に位置するコンポンチュナン州のコンポン・トゥローラック地区の小学校と中学校で2015年3月14,15日の2日間にわたり、日本式の運動会が開かれました。
主催したのは日本の学生団体、SWITCH。さまざまなスポーツイベントを通じてメンバー間の助け合いの精神の育成や個人の資質向上を図るという学生グループで、現地のNGO、EDF Cambodiaの協力の下、毎年カンボジアで運動会を開催しています。3回目となる今年の運動会には同団体のメンバー、12名が参加しました。
小学校のみで開催された前回、前々回と異なり今回初めて中学校でも開催するということで、初めは若干緊張気味でしたが、いざ始まってみると学生たちの見事な連携とチームワークで、参加している子どもたちも大喜び。三人四脚から始まり、綱引き、応援合戦、そして最後のリレーまで、子どもたちは初めて体験する日本の運動会では定番の競技種目をめいっぱい楽しんだ様子でした。
こうした日本式の運動会を開くことが、カンボジアの子どもたちにとってどのような意味があるのか――EDF Cambodiaの代表を務めるチェン・チャンディさんは次のように述べて、日本式運動会の意義を強調します。
「カンボジアではポルポト時代の影響もあり、農村にも共同体の精神といったものがほとんどありません。学校教育の現場も同じで、子どもたちが助け合いの精神を育む行事もありません。ですから、このような形で日本の学生たちがわざわざカンボジアまで来てくれて、日本式の運動会を開いてくれるのは本当にありがたいことです。今後も続けていって、少しでも農村における共同体精神の復活につながっていってほしいと思います」
また、今回のカンボジア訪問団の団長でSWITCHの代表、桐本瑛生さんは今回の成果と今後の課題について次のように語ってくれました。
「種目によってはうまくいかないところもあったりして、完全に満足というわけにはいきませんが、けが人もなく、みんなが楽しんでくれたようなので、85点くらいはいけたのではないでしょうか。ぼくたちとしては、当面、この地区の学校に集中して運動会文化というものを広めていければと思っています。今年は、呼びかけてもらったにもかかわらず、去年に比べて地域住民の参加が少なかったので来年はそのあたりを改善したいです。さらに、ぼくたちが主導権をとるというのではなく、今後は先生たちと事前に十分な打ち合わせをして、現地の先生たちが主体的に動く運動会にしていきたいです」
運動会が終わった後、参加した子どもたちに「こういう運動会が毎年あったらいいなと思いますか」とたずねたところ、一人の例外もなく「あってほしい」という答えが返ってきたのが印象的でした。
カンボジアのよりよい未来を築いていくうえで必要だと思われる共同体精神の復活、助け合いの精神の育成――日本式の運動会がその目標を達成するうえで大いに役立ちそうです。
子どもたちにいちばん人気だった綱引き:力が入ります
裸足で全力疾走!
ポーズを決める緑チームの男の子たち
手づくりの応援旗
応援合戦
運動会終了後、校長先生に綱引きの綱をプレゼント
勝手に綱引きを始める子どもたち
終了後はみんなで記念撮影