昨年(2016年)12月初旬の第3回カンボジア農村教育事情視察ツアーに関する報告の第2部では、12月7日に行われたカンボジア子ども基金訪問の模様をお伝えします。
奨学金を受けることになった学生5名と記念撮影
その前に同基金を支援することになったいきさつについて、以下で短く説明します。
創設者はオーストラリア人のスコット・ニースン。以前はアメリカ・ハリウッドの映画業界で活躍していた人です。たまたま休暇でカンボジアを訪れていたときにプノンペンの巨大なゴミ捨て場で劣悪な環境にもかかわらず、無心にゴミ拾いをする子どもたちに遭遇し、華やかな映画人としての生き方を捨てて、貧しい子どもたちや家族、そしてコミュニティを救うために立ち上がったといいます。
2003年に基金を立ち上げてから急速に発展、現在ではカンボジアで活動するNGOの中でも特に評価の高い団体となり、その活動範囲も教育、医療、職業訓練、住宅斡旋、治安確保といった具合に広がってきています。
昨年、インターネットを検索していたときにたまたま見つけ、3月には実際に同基金の本部を訪れ、その活動を実際に目にすることになりました。創設者スコットの情熱はもちろんのこと、単に子どもたちにとどまらず、その先にある家族やコミュニティまで視野に入れた活動の幅と深さに感動、彼らの活動を少しでも支援できないかと思ったのが始まりでした。
鹿児島に戻り、同基金のことを話すなかで、幸いにも肝付町在住の益山貞一郎・和子夫妻から協力の申し出があり、大学生奨学金プログラムへの支援が実現することになりました。
さて、当日はまず同基金の本部に到着するとすぐに彼らが運営している複数のコミュニティセンターのうち中心的な役割を果たしているセンターに向かい、そこで診療所や託児所、教室、図書館といった施設を見学しました。
コミュニティセンターに到着
センター内にある診療所などを見学
同基金が運営する食堂で昼食をとる子どもたち
それから同基金が支援している住民が暮らす地区に向かい、同基金が海外の支援者とともに建設・提供している住宅を見学し、さらに具体的な活動内容について学ぶことになりました。
地区内は安全とはいえず
麻薬などがからんだ暴力沙汰がときおり発生するということでした
昼食時、同基金が運営する教室での授業を終えて出てきた生徒たち
そして最後が今回の訪問のハイライト、奨学生との対面です。いずれも聡明そうな17歳から22歳までの大学生5名で(男子学生3名、女子学生2名)、それぞれ貧しい家庭に育ちながら、同基金の支援を受けて懸命に学び、昨年秋、入学試験に合格し、大学に通い始めたばかりだということでした。
彼らに専攻をたずねると、情報技術や観光、ビジネスという答えが返ってきます。担当者の話によると、同基金では、学生が大学を卒業した後、就職先が見つかりやすいように労働市場や求人情報などを参考にしながら、学生に専攻分野を決めてもらっているとのことでした。
学生を激励する益山夫妻
入学したばかりということもあってか、どの顔にも希望があふれています。そんな彼らを支援することになった益山夫妻も本当にうれしそうです。益山夫妻の支援は彼らが卒業するまで続きますが、これからの4年間で彼らがいったいどのような人材に育っていくのか、今後が本当に楽しみです!